みりくん

何か少しでも自分というものを残したくて。

日常

緊急事態宣言が昨日出された。彼は塾が無くなる、やった、と思うと同時に彼1人だと勉強に集中するのは大変だ、どうしたらいいのだろうとも思った。

 

学校から来る休校のメール、文化祭の中止のお知らせ、普段とはあまりに違いすぎる世界に彼は少しの興奮と大きな不安、そしてちょっぴり不満を抱えている。

 

学校の最寄りの駅では相変わらず人々の行動が絶えることはなさそうだった。しかし、いつもは開いているタピオカ屋がしまっていたり、デパートが閉まっているのをみると、やはりコロナウイルスは私達の日常を蝕んでいるのだと思った。

 

 

そして何より彼が悲しみを覚えているのが文化祭の中止だ。今年は私たちが中心となって運営するつもりだったのに、突然の中止の連絡は彼に大きなショックを与えた。

 

浴槽の中で彼は考えた、「今年の文化祭では色々やりたかったのに、去年よりは仲良くなれた先輩と楽しくおしゃべりしたり、普段とは違う装いの同級生にかわいさを覚えたり、コスプレをしている人達と写真を撮ったり、ステージの上で踊ってあわよくば歓声を得ようと思ってたのに、そういうことができないのか…」その事実を確認した時彼の心が3メートルぐらい沈んだ。

 

 

世界のみんなが不安を覚えている、連日のニュース、政治への不安、彼はそこまで今の政治に不満を覚えているわけでは無く、むしろ今外出して遊んだらする学生、そして飲み会を開く成人の方に不満や怒りを抱えている。

 

何よりマスクが足りない、どこのドラッグストアを訪れてもマスクは一箱も売ってない、開店と同時に並ばなければ買えないとは言うけれども、彼はもうこの世にマスクの箱は存在しないのかとすら思っている。それぐらい足りないのだ。

 

今の日常はいとも簡単になくなってしまう可能性があること、そして歴史上に確実に残る事態に直面していることに彼はやはり少しの興奮を覚えてしまっている。